【マジック紹介】赤と黒(奇術入門シリーズ カードマジック 高木重朗著)

こんにちは、SkyWalkerです。

最近奇術入門シリーズを再度読み始めたのですが、これが面白くて仕方ありません。学生時代に図書館でさらっと読んだきりだったのですが、読み返すとこんなに名作が多かったのかと驚きです。

この奇術入門シリーズ カードマジックは高木氏の膨大な情報量からのセレクションなので、良いトリックばかりです。名著はいつまでも名著ですね。

この「赤と黒」は最初に紹介されているセルフワーキングトリックですが、考えると意外と面白かったので紹介します。

カードマジック (奇術入門シリーズ) 単行本 – 1987/6/1
高木 重朗 (著)

現象

赤10枚、黒10枚のトランプを示します。軽く混ぜたあと、裏向きで手の中で広げて、観客に10枚選んでもらいます。その10枚を一つの山にして、残りの山を隣に置きます。2つの山を上から同時に表向きにしていくと、全て赤と黒のペアになっています。

いくつかのアイディア

本当にシンプルなトリックですが、演出は色々と考えられます。例えばN極とS極、男女のカップルにするなど。

twitterを見ていたらルーンさんが面白いアイディアを紹介していました(記載を快諾いただき、ありがとうございます)。表ではなく裏をペアにしたり、紅白でペアにしたり、結婚式であれば新郎新婦にも出来る、とのことです。

ルーンさんがこちらで演技動画もアップしていますので、興味がある方はぜひ。

セルフワーキング・マジック事典を読んでいたら、このトリックを2回続けられることに気づきました。おなじみの数理的な原理を使いますが、1回目の現象のあと、ペアの組を集めてフォールスシャフルし、観客にリフルシャフルをさせます。もしくはロゼッタ・シャフルでも良いです。その後2つの山に配り分けると、それぞれのトップからのカードが赤黒ペアになります。

Ramón Riobóo氏の”Arresting Matches”

さらに調べていたら、ラモン・リオボーRamón Riobóo氏のThinking the Impossibleに”Arresting Matches”という同趣向のトリックがありました。一回目に読んだときはスルーしていましたが、読み直すとかなり面白かったです。

このトリックの特徴として、

・演出が面白い
・2回続けることが出来る
・2回目の観客の選択によって、クライマックスが変わる
・セルフワーキングである

が挙げられます。Thinking the Impossibleを読むと、ラモン氏もお気に入りのトリックであったようです。

(中略)私もまたこの手順の開発には相当の時間を費やしている。構築過程は実に楽しかったし、出来上がった手順の構成に、そして観客からの反響にも大いに満足している。

“Arresting Matches”, Thinking the Impossible(岡田浩之訳)より

この項によると、ラモン氏がこのトリックを考案した後、Max Mavenに原理に関して尋ねています。トリック自体は古くからあり、少なくとも1971年9月のThe Pallbeares Review(Vol. 6, No. 1, p. 443)にKarl Fulvesが発表していますが、J.K. HartmanやArthur Finleyも同様の手順を発表しているようです。

Thinking〜をお持ちの方はぜひチェックしてみてください。邦訳版は絶版になっているのが大変残念ですが…(再販されるという噂もありますが…??→2021年9月20日追記:再販されました!

最後に

まさか最初のトリックだけでこんなに考えるなんて思ってもみませんでした。最近はテクニック重視のトリックよりも、自分が自信をもって演じられるトリックを深めることが楽しいです。

まだまだ自分が持っている本やトリック、考察していかなければと思います。

このブログ記事を書いているときに、ラモン氏が逝去されたと聞きました。RIP, Mr. Ramón…

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