【マジック書籍レビュー】マジック本では学べないマジックの秘訣52

(チョー・サンウー著、チェイ・ウォンジェ挿絵、田代茂翻訳)

韓国のマジシャンによる著作の日本語訳。Performing artとしてマジックを演じる場合の心得52選が記されています。不勉強ながら、著者のチョー・サンウー氏をこの本で初めて知りました。

内容ですが、マジックを演じる上で基本的かつ重要なことをコンパクトにまとめていて、大変素晴らしかったです。初心者はもちろん、上級者でも気付くことがあるのではないでしょうか。

1つのテーマが見開き2ページになっていて、左側にコミカルな絵が描かれていて読みやすく、1時間ぐらいでさらっと読めます。例えば、現象が起こったら一息つく、演技中はしっかり立つ、良い現象は一言で言える、視線の方向、オフ・ビートの重要性などなど、参考になる考え方がたくさんあります。

個人的に参考になったのは、25番「サーカスなのかマジックなのか、それが問題だ」と45番「演技の終わりをシッカリ固める」です。

「サーカスなのかマジックなのか〜」は熟練した技術を強調するのか、全くわからないような形で不思議を提供するか、についてです。自分としては「何も怪しいことをしていないのに不思議なことが起きる」ことを理想としていたのですが、マジックによってはフラリッシュを強調したり、「記憶術のトレーニングをしている」など、熟練した技術を強調するマジックも「あり」なのですね。どちらが良いという問題ではなく、スタイルの問題なのでしょう。

45番の「演技の終わりをシッカリ固める」も参考になりました。「マジックの終わり」と「演技の終わり」は言われてみれば確かに違います。マジックが終わったときに手伝ってくれた観客をどうするか、使用していた品物はどのように片付けるのか、パームしている品物はどうするか、など…実際演じてみると、意外と演技の終わりを考えてなかったことに気付かされます。

全体をさらっと読んだ後、実際にマジックを構成したり、演じた後に何度もこの本に戻ってくれば、さらに理解が深まる気がします。

マジックを人前で演じる方全てにおすすめできる良書です。

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