こんにちは、SkyWalkerです。
セルフワーキング・マジック事典を再度読み直してみました。学生の頃はハードルが高かったものも「この演出ならできる」と思ったり、「この技法が役立つ」など、知識がつながっていくのが楽しいです。
セルフワーキング・マジック事典 単行本 – 1999/7/1
松山 光伸 (著)
今回紹介するトリックも他人が演じているのを見たことはないのですが、最近実演したら好評だったので紹介します。
現象
一組のトランプを軽くシャフルした後、2つの山に分けます。観客に選んでもらった山を好きなところから分けてもらい、分けたところのカードを表向きにしておきます。
選ばれた山と選ばれなかった山を横に並べ、両方の一番上から同時に配って行きます。選ばれた表向きのカードが出てきたとき、別の山の同じ箇所のカードを表向きにすると、なんとメイトカード(同色同数)が出てきます。
前後を見ても他に一致しているところはありません。
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文章で読むとスルーしがちですが、よく考えるとかなり不思議です。
デックはレギュラーで、分けるのも観客に自由にやってもらえます。その他怪しい動きもなく、メイトカードが出てきます。
セットが必要なのですが、当時読んだときは紹介されているシャフルがハードルが高く、あきらめていました。しかし、今読み直すと別のシャフルやフォールスカットでも良いと気づき、演じてみたくなりました。バレンタインデーのお返し目的に妻に演じてみましたが、かなり好評でした。
セルフワーキング・マジック事典にはさらに別のセットの方法も載っています。その方法だと、はじめに何度か観客にカットしてもらえるので、見た目の自由度が上がりますね。
その他のトリック
奇術愛好家なら、別の似たようなトリックを思い浮かべるかもしれません。
同様の現象を2つのデックを用いるものとしては、Paul Curryの”The Power of Thought”がありますね。カードマジック事典に「同時に現れるカード③」として紹介されていますが、傑作です。2デックを使うので、メイトカードではなく、選ばれたカードと同じカードが現れます。松田道弘氏のメンタルマジック事典でメンタルマジック20選に選ばれています。
メンタル・マジック事典 単行本 – 1997/3/1
松田 道弘 (著)
下記でHarapan Ongが実演しています。久しぶりに見るとやはり良いトリックですよね。デックを二組用意しなければいけないので、実演のハードルが少し上がりますが。
一組のデックでノーセットで行うものに、マーチン・ガードナー考案のものがあります。マーチン・ガードナーマジックの全てp.26に「一致するトランプ」として解説されています。これは何度か高校生のときに演じていました。はじめに観客にシャフルしてもらえるのが利点ですが、2つの山を1つにする必要があります。
マーチン・ガードナー・マジックの全て―マーチン・ガードナー・プレゼンツ 単行本 – 1999/2/1
マーチン ガードナー (著), Martin Gardner (原著), 寿里 竜 (翻訳)
メイトカードではないのですが、2つの山に分けた後、特定のカード(二人目の観客の覚えたカード、演者が覚えたカード、探偵カードなど)が出たところで観客のカードが出現するトリックもあります。機会があれば紹介できればと思います。
最後に
セルフワーキング・マジック事典では「原案を簡略化した」と記載があるのですが、原案が載っている本が絶版のようで、確認できていません。古いマジック本はすぐに絶版になるので大変ですね。
最近もユージン・バーガーの本が東京堂出版から発売されたのですが、値段が高く躊躇しています。でも数年経つとまた手に入りにくくなるんだろうなぁ…と葛藤の日々です笑
→結局買いましたw この値段も納得の内容・ボリュームでした。
ユージン・バーガー マジック・コレクション 単行本 – 2021/3/11
ユージン・バーガー (著), リチャード・カウフマン (著), 角矢 幸繁 (翻訳)
二組でも可能
現象説明では一組のデックを2つの山に分けますが、二組のデックでもできることに気づきました。
二組のデックを持ち出し、一組を自由に選んでもらい、選んでもらったデックをカットしてもらいます。カットした箇所を表向きにして一つの山に戻し、二組のデックを同時に表向きにしていくと、表向きのカードの箇所で他方のデックから同じカードが出てきます。もちろん、他に一致しているところはありません。
こちらは同じカードになるので、インパクトは強いかもしれません。
セルフワーキング・マジック事典 単行本 – 1999/7/1
松山 光伸 (著)
セルフワーキングの名作が数多く紹介されている、名著です。
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