【マジック紹介】Brainwave Deck

こんにちは、SkyWalkerです。

以前の記事でMax MavenのB’Waveについて書きましたが、その元になったDai Vernon/Paul FoxのBrainwave Deckです。

マジェイアの魔法都市案内によると、1976年に高木重朗・松田道弘両氏による世界のカードマジックベスト12(レギュラーカードとギミックカードそれぞれ12作品)が発表され、ギミック・カード編にこのBrainwaveが挙げられています。

Roberto Giobbiロベルト・ジョビー氏のサイトで、2015年の記事にカードマジックベスト10があり、その中にもこのBrainwaveが入っています。

現象

マジシャンは一組のトランプをケースに入れたまま机の上に置いておきます。マジシャンは昨日何かしらのインスピレーションがあったようで、予め1枚だけトランプを表向きにしておいたと言います。52枚の中から観客に1枚、トランプの名前を言ってもらいます。仮にダイヤの7とします。ケースからトランプを出し、広げると1枚表向きのトランプが出てきますが、まさしくダイヤの7です。

「でもこれをやると、トランプの名前を言った後に、テクニックでひっくり返したのでは?と思われる方もいらっしゃいます。そのため、この1枚だけ別のトランプから取ってきました」

ダイヤの7をひっくり返すと、他のトランプは赤裏なのに、選ばれたトランプだけ青裏になっています。

コメント

これは確か中学生ぐらいのときにテンヨーから購入しました。現在は扱っていないようですが、大変人気のあるマジックなので、その他多くのショップで売っています。

演出は上記を紹介しましたが、「あらかじめ1枚特別なトランプを入れておきましたが、そのイメージをあなたに送りたいと思います…何のカードか当ててもらえますか?」というのも出来ます。このほうがBrainwave=脳波っぽい演出かもしれません。

タネを知ってびっくりしました(というか、あの頃はがっかりが大きかったかも^^;)。技法らしい技法はなく、セルフワーキングトリックです。演出をしっかりすれば、珠玉のメンタルマジックになります。

ただ、このマジックはテクニック面だけを見るとそこまで難しくないのですが、以下の点から初心者には少々荷が重いマジックかな、と思っています。

①演出が重要で、台本を準備する必要がある
②カードを観客に手渡せないので、ある程度演者が観客をコントロールできないと手が伸びてくる可能性がある
③カードケースの問題

ネタに関わることで言いにくいのですが、③カードケースに関して気にしなければいけないことがあります。

当時のテンヨーの解説書ではカバー出来ていなかったのですが、ダロー氏が解説をしているBrainwave DeckをVanishing Inc.から購入してみると、その問題もちゃんと説明されていました。あとは自分にあったセリフを考えれば、付属されているケースでも十分実演可能です。

今回のブログを書くにあたって演技動画をいくつか見たのですが、最後にデックをリボンスプレッドするのは良いですね。大変自然に見えます。

トリックの変遷

松田道弘氏の「トリック・カード事典」ブレイン・ウェーブ・デックの項目(p34-36)によると、観客が心の中で思ったカードが表向きにひっくり返る現象、Reversoを1921年にエドワード・バグシャーが発表しました(そういえば、Invisible Deckはカードが裏向きにひっくり返りますね。ややこしい笑)。

その後、アメリカのマックス・ホールデンがこのトリックをイギリスから輸入し、ダイ・ヴァーノンがギミック部分を変更していました。1932年にポール・フォックスが裏面の色を変える提案をし、バーノンがアンネマンに見せ、1938年の雑誌Jinxにバーノンのクレジットで載せたとのことです。

Robert GiobbiはPaul Fox/Dai Vernonのクレジットで紹介しています。

トリック・カード事典 単行本 – 2001/4/1
松田 道弘 (著)

その他のBrainwave現象のマジック

私が知る範囲で少し補足しておきます。

Standup Card Magicに紹介されている、Robert Giobbiのバラの演出は面白いです。1組のデック、1枚色違いのカード、3本のバラをステージに用意します。1本ずつ女性客に投げ渡し、それぞれ色、マーク、数字を選んでもらいます。色違いのカードを見ると、まさにそのカードです。

このトリックが面白いのは、色違いのカードを演出で変えられるところです。誕生日カードや、企業のロゴにすることもできます。

Brainwaveが発表された後、1950年代からパケットトリックが流行し始め、スモールパケットで同様の現象が起こせないか、様々なマジシャンが作品を発表しています。Max MavenのB’Waveもその流れです。

Nick TrostのEight card brainwaveも有名です。8枚のパケットから1枚を選んでもらうと、その1枚だけが裏の色が違うというものです。Olram Subtletyを使用しますが、技術的には手軽に出来ます。

個人的にはBrainwaveを購入した後、B’Waveより先にゆうきとも氏のC. C. Waveを知りました(Wise Worksゆうきとものクロースアップ・マジックに収録)。B’Waveに似たコンセプトなのですが、ペンの色を選び、エース4枚の中から1枚を選んで、イメージの中でエースに×印を付けると、その色の×印が選んだエースに付いているというものです。

ゆうきとものクロースアップ・マジック 単行本 – 2007/10/1
カズカタヤマ (著)

また、John BannonのTwisted Sistersも面白い現象です。ただ、バノンの実演を見ると、純粋なメンタルマジックではなく、カード反転とトランスポジションの要素がありますね。個人的にはメンタル+αで、現象がぼやけてしまうと感じます。

最後に

Brainwave現象をさらっとまとめてみようかと思ったら、情報が多くてびっくりしました^^; また、BrainwaveならB’Wave一択かなとも思っていましたが、調べると原案も面白そうでした。

最近は新しいマジックを追い求めるよりも、自分が知っているマジックを如何に深められるかに興味があります。演出、セリフ、示し方など、気にすれば変えられるところはいっぱいあるのですね。

コメント

  1. […] Brainwaveの記事を書くためにB’Waveを調べていたら、考案者本人の考えが知りたくなり、結局Deluxeを買ってしまいました^^; Max Maven自身による詳しい解説は今までなかったようです。 […]

  2. […] 例えばBrainwaveでは、心の中で選んでもらったカードが1枚だけ色が違っていて、演者がすごい能力がある、もしくは観客が演者のイメージを受け取ってすごい!という演出になります。 […]

  3. […] ・Brainwave […]

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