【マジック書籍紹介】トランプマジック大図解(星野徹義:著)

こんにちは、SkyWalkerです。カードマジック本のご紹介。

twitterでルーンさんがつぶやいていました。自分自身も小学生のとき最初に手にしたマジックの本だったので、大変懐かしくなりました(マジックことはじめ(1)で紹介)。子ども向けですが、載っているトリックは素晴らしいものが多く、今でも十分通じます。

初版1996年と20年以上前の本ですが、良いマジックは色褪せないですね。

内容

始めにフラリッシュ、カードの基礎知識の説明があり、かんたんマジック→中級マジック→上級マジックとレベルに応じたマジックが紹介され、間にカードのテクニックが解説されます。

テクニックとしてはカードの持ち方、主要なシャフル、カット、ダブルカット、フォース各種など。

マジックは漫画で現象→文章で解説の順で、子どもにもわかりやすいようになっています。まず記載されているトリックをご紹介。

封筒の中で復活するカード

選んでもらったカードを4つに破り、そのうち破片1つを持っていてもらう。残り3つの破片を封筒の中に入れ、しばらく手の間ではさんでもらう。封筒から出すと3つの破片がつながっており、観客が持っていた破片と一致する。

宣伝も兼ねて上級マジックをカラーページで紹介していますが、のっけから超不思議です笑

小学生にとっては準備が大変で、実演することはありませんでしたが、今思ってもすごいトリックです。

まずはかんたんマジック編

ジョーカーのささやき

観客が選んだカードをジョーカーに聞くと、観客の言った枚数目から出すと言い、その通りになる。

若干省略はありますが、観客からはこのように見えます。

キーカードロケーションですが、観客のカードが分かれば良いので、フォース、ピークなど、いくらでも方法があります。

さらに自然にするには、サムカウントしてパスすれば…何て考えてしまいますが…笑

ラッキーセブン

演者はデックを4つの山に分けて、観客に1つの山を自由に選んでもらう。それが予言されている。

メンタルマジックの基本的な原理が学べます。

不思議な4

カードを選んでもらった後に一組を広げると、何故か4が表向きになっている。そのカードが選んだカードを見つけ出す。

セルフワーキングトリックで、当時何度も実演していました。

ロベルト・ジョビーのCard College Lighterの”Voilà, Four Aces”はこれを一捻りしている良いトリックですね。

カードの透視

カードを13枚抜き出して1枚選んでもらい、すぐに混ぜてしまう。カードに念が残っていると言い、透視して当てる。

原理は単純でかんたんマジックに分類されていますが、当て方など一工夫がいるため、意外と難しいかもしれません。

袋の中のカード

紙袋とカード1組を用意する。13枚のカードを選んでもらい、1枚選んで戻して混ぜる。更に混ぜるために、紙袋の中に入れて観客に振ってもらう。指先の感覚のみで、選ばれたカードを当てる。

ダイ・バーノンのカクテルカードの改案です。原案はDai Vernon’s Inner Secrets of Card Magicに載っています。原案では帽子を使うことになっていますが、現代では紙袋の方が自然ですね。パーラーで行える優秀なトリックです。

原案に近いやり方を日本語で読めるものとしては、ヒロ・サカイ氏の「パーティーマジック」があります。

パーティー・マジック―その場を盛り上げるネタの数々 単行本 – 2001/12/1
ヒロサカイ  (著)

脳波のカード

1枚カードを選んでもらい、戻してもらう。一度カードを広げて忘れていないことを確認する。カードを閉じて覚えたカードを念じてもらい、それを当てる。

セットが必要なのですが、一見してもセットには見えない優秀な方法です。当て方もデックを横において脳波で当てるという、セットから目をそらす演出も秀逸ですね。

数年後に「マーチン・ガードナー・マジックの全て」を読んでいたら、「スプレッド・シャフル・スプレッド(My Best, J. G. Thompson, Jr.著 1945年)」で同じ原理が紹介されており、ここが出典かと驚いた記憶があります。

マーチン・ガードナー・マジックの全て―マーチン・ガードナー・プレゼンツ 単行本 – 1999/2/1
マーチン ガードナー (著), Martin Gardner (原著), 寿里 竜 (翻訳)

登場する4枚のエース

デックをリフルしてストップをかけてもらい、そこから3枚カードを出す。出てこい!と観客に言ってもらうと、デックからスペードのエースが表向きに出てくる。そのスペードのエースでテーブルにある3枚のカードを叩くと、全てエースである。

4枚エースの出現としては簡単で効果的です。

ラストカード

1枚観客が選んだカードをシーソーシャフルという混ぜ方をしながら、カードを捨てていく。1枚残ったカードが観客のカード。

数理的な原理で、やや冗長になってしまうかも。

選んだ枚数目から出るカード

選んだカードを返してもらい、演者はある場所でカットをする。そのカードが選んだカードを指し示す。

観客にペーパーナイフを刺しこんでもらい、そこからカードを探し出すこともできます。いわゆるカードスタブですね。ペーパーナイフがなければ、ジョーカーなどでも代用可能。

ゆうきとも氏のワイズ・ワークス2に「ザッピング」という、上記をさらにディセプティブにした作品があります。

カードを当てる紙マッチ

4枚のカードを見せて、紙マッチを好きなカードの上に置いてもらう。それが予言されている。

原理としては上記のラッキーセブンと同じ。

ここから中級マジック編

誕生月とラッキーカード

一組のデックのトップから、好きな人の誕生月分のカードをポケットに入れる。残りのカードで12枚のカレンダーを作り、誕生月にあたるカードを覚えてもらう。演者はその誕生月と、覚えたカードを当てる。

いわゆるクロック・トリック。演出をしっかりすれば、大変効果的。

昼と夜

デックから2枚のカードを選んで覚えてもらう。何度かカットした後、観客に一組を2つの山に分けてもらう。演者は2枚を抜き出して見せるが、見事に当たっている。さらに、2つの山を見てみると…

いわゆるダブルクライマックスの作品だが、カンの良い観客ではタネを推測されるかもしれず、適切にフォールスシャッフルが必要。

解説ではポール・カリーのOut of This Worldが原案となっていますが、むしろタマリッツのNeither Blind Nor Stupidが近いです。

ウルトラビジョン

デックから1/3を取ってポケットに入れてもらう。デックから1枚ずつ演者の手に載せていき、途中で止めてもらう。演者は集中した後に、観客の手のカードの枚数とポケットにあるカードの枚数を当てる。さらに、ポケットにある赤いカードの枚数も当ててしまう。

普通に不思議です。当時は敬遠していましたが、実演する価値は十分ありそうです。

透視カード

選んでもらったカードを裏から見て透視する。

これはいろいろな意味で演じるハードルが高く、おすすめできません^^;

ヒモから抜けるカード

両エンド(短い方の端)に穴が1つずつ空いているカード、紐、ハンカチを調べてもらう。カードを半分に折り、紐を穴に通して、紐の両端を観客に持ってもらう。演者がハンカチをかけて中に手を入れ、しばらくするとカードが落ちてくるが、穴は無傷である。ハンカチを取ると紐も切れておらず、全ての道具を調べさせられる。

これも当時はハードルが高かったですが、不思議で良いトリックですね。

ここから上級マジック

スリーカードモンテ

ダイヤのK、ハートのK、スペードのエースの3枚を裏向きにして混ぜ、スペードのエースを当ててもらうが、観客は当てることが出来ない。2枚に減らしても当てられない。

DLを使う大変シンプルなスリーカードモンテ。即席でできるので、当時はよくやっていました。今思うとここで解説されているDLが少し不自然なのですが…^^;

カードの交換

4枚のKのうち、ハートのKとダイヤのKをテーブルに置く。混ぜてからハートのKがどれかを聞くが、テーブル上のKはスペードとクラブのKになっており、赤いKは手の中にある。

ドクター・ダレーのラストトリックをDLのみで達成するもの。クラシック。

脱出カード

1枚カードを選んでもらい、デックの中に混ぜる。トップとボトムに選ばれたカードはないことを示した後、デック全体に輪ゴムを十字にかけてしまう。ハンカチをかけて観客に持っていてもらう。演者はハンカチの中に手を入れ、1枚カードを抜き出してくるが、違っている。もう一度カードを抜き出すと、選ばれたカードである。デックにはしっかりと輪ゴムがかけられている。

当時やっていた懐かしいトリック。

カメレオンカード

ジョーカーのみ十数枚あることを見せ、1枚ずつテーブルに置いていく。好きなところでストップをかけてもらい、そのジョーカーにおまじないをかけると、裏の色が変わる。残りのカードにおまじないをかけると、スペードのAからKに変わる。

これはフ◯◯◯ンカウントのみで達成するので、今思っても実演はきついです。。。

6枚カードの予言

6枚のカードの内、1枚だけ選んでもらう。そのカードのみ裏の色が違う。

有名なニック・トロストのEight Card Brainwaveを6枚で行うもので、これもクラシックですね。

カードの空中変化

選ばれたカードを見つけ出そうとするが、違っている。そのカードを振ると選ばれたカードに変わる。

カラーチェンジの技法は代替案が多数ありますが、これはあまりやったことないです。

どこからでも出てくるカード

カードに名前を書いてもらい、デックの真ん中に入れるが上に上がってくる。何度真ん中に入れても上がってくる。

アンビシャスカード。TL→DLのみなので小学生にはちょっときつい?

技法

トリックの合間に簡潔にかかれていますが、読み返してみてよかったのがヒンズーフォースの箇所です。

普通はシャフルしてストップがかかった時点で、そのまま見せてしまうと思いますが、そこから1ステップ踏むことで、錯覚が強くなっています。これは素晴らしい。

逆にDLは少し不自然かなと思う方法のみの解説です。

総括

どうしても初心者の時期に学んだマジックや本は初心者向けといった印象になりがちですが、見直してみると新しい発見があって面白かったです。

取り上げられているトリックの原案自体、クラシックなプロットが多く、自分好みにアレンジできれば、十分レパートリーに入ると思います。

アマゾンで調べると中古で安く手に入るみたいなので、ご興味のある方はぜひ。

トランプマジック大図解 (コロタン文庫) 文庫 – 1996/2/1
星野 徹義  (著)

コメント

  1. […] また、当時小学校でマジックが流行っていて、本屋にある一般向けのマジック本でカードマジックを練習していました。初めて買ったのが、「トランプマジック大図解(星野徹義)」でした(追記:ブログでレビューしました)。 […]

  2. […] 以前トランプマジック大図解で紹介した、封筒の中で復活するカードに使えますね。 […]

タイトルとURLをコピーしました