
チャールズ・シュルツ(スヌーピーの作者, 1922-2000)
人生は、まるで十段変速自転車のようだ。使わないギアばかりある。
情報化社会になっていますが、選択肢の多さと満足度は必ずしも一致しないことがあります。
この言葉を学生の時に見て「どういうこと…??」と思っていましたが、以下は私の解釈です。
マジックを趣味としていると、情報の波を感じます。
中学生時代がちょうどインターネットが発達し始めた時でした。マジックの勉強といえば本、ビデオ、DVDが中心でした。場所によっては講習会などでしょうか(当時田舎に住んでいたので、そのようなものは全くありません)。
マジックショップと言っても東京や大阪が中心なので、中高生時代は簡単には行けません。通販もなかなか手が出しにくかったです。
あれから20年ほど経ちましたが、情報量の増加は目を見張るものがあります。
Google先生に聞けば、ネタを売っているショップが分かり、クレジットカードで支払い、家に配達してくれます。今は本だけではなくPDF、ショップによってはDVDではなく動画配信・ダウンロードもあります。ショップのメールマガジンにいくつも登録すれば、ほぼ毎日新商品の情報を送ってきてくれます。
私は反対ですが、種明かし動画も本気で検索すればあらゆるものが出てきます。
このような流れはマジックだけではなく、その他の分野でも同じ状態なのでしょう。
あらゆる情報にアクセスできることはもちろん喜ばしいことなのですが、果たして良い面だけなのでしょうか。これに関して、ある面白い実験があるのでご紹介します。
あるスーパーマーケットで試食用のジャムを使った実験を行いました。ある日には試食用のジャムを6種類、別の日には24種類並べました。売り上げを比較すると、前者は試食した30%がジャムを購入したのに対し、後者はわずか3%しか購入しなかったそうです。また、仮に購入したとしても、「別のジャムの方が良かったかも」と心から満足できないことにつながっていました(「選択の科学」シーナ・アイエンガー著)。
つまり、「選択肢が多いこと」と「満足度」は必ずしもイコールではないということです。
興味がある方は、上記の本をお読みいただくか、TED talkでもBarry Schwartzという心理学者が講義をしているので、ぜひ一度ご覧ください(英語ですが、日本語字幕もあります)。
昔の奇術愛好家は「奇術研究」という季刊誌が届くのを心待ちにしていました。年4回しか発行されないので、その間に一冊に載っている奇術を何度も読み込んで練習したそうです。
その方がある意味幸せだったのかもしれませんね。
現在の情報化社会においては、意図的に情報をシャットアウトすることも必要なのでしょう。
と言いながら、twitterやメルマガを逐一チェックする自分がいるのですが…(^^;

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