こんにちは、SkyWalkerです。
去年Vanishing Inc.から購入していたのですが、先日職場の忘年会で演じたところ、好評だったのでご紹介します。
現象
一組のトランプをケースに入れたまま机に置いておきます。観客に1枚好きなトランプを思い浮かべてもらい、演者はその名前を宣言すると言います。
少し考えたあと、演者は「あなたのトランプの名前はPHILだと思います。Phillipの略称ですね」と大真面目に言います。
観客は一瞬戸惑いますが、演者は「冗談です。何のトランプを思い浮かべましたか?」と聞きます。仮にハートの3だったとします。
トランプをケースから取り出し、ハートの3を表向きに抜き出します。残りの一組を裏向きにすると、裏にはDAVE、ALAN、JANEなど、いろいろな人の名前が書いてあります。
ハートの3を裏向きにすると、確かにPHILと書かれてあります。
トリックとの出会い
初めてこの現象を読んだのは、松田道弘氏の「トリック・カード事典」でした。その中の「トリック・カード30選」に”Oscar”というNick Trost ニック・トロストの作品が紹介されていましたが、この時は一瞬興味をもったものの、スルーしていました。
トリック・カード事典 単行本 – 2001/4/1
松田 道弘 (著)
しばらくしてMagicanaという、昔のマジック映像をアーカイブしているYoutubeチャンネルがあるのですが、そこでDon Alan ドン・アランが同じ現象を演じていました。
彼のとぼけた演技とも相まって大変面白かったです。
ここから興味を持ち、いろいろ調べたところ、今回のPhil Trickに行き着きました。
トリックの特徴
この作品はTrevor Duffy トレバー・ダフィーとPhil Goldstein フィル・ゴールドスティン(Max Maven マックス・メイビン)の合作で、1980年代に考案されたようです。
このトリックの特徴としては、
- 一組のデックだけでできる
- 思い浮かべるカードはジョーカーを含め、どのカードを言われてもOK
- Equivoqueなどは使用しない
- デックは手渡しできないが、両手で広げて表と裏を見せることができる
- セルフワーキングである
- Blank Phil Deckを使えば、裏の名前を自由に書き換えられる
といったところでしょうか。
日本人に向けて英語のマジックは実演しにくいのですが、自由に名前をカスタマイズできるのはかなり良いですね。
先日、職場のzoom忘年会があり、そこで職場用にカスタマイズして演じてみました。セルフワーキングなので、演出やセリフに集中できます。
若手に手伝ってもらい、上司の名前をオチにして「上司のカードを選ぶなんて、さすがです。本当に我が職場を愛していますね!これからもご尽力ください」と言ったら、けっこうウケていました笑
トリックの歴史
Phil Trickの解説書によると、基本的なプロットはFred Loweの”Christened Reverse”というトリックが元になっているようです。
その後Ali Bongoアリ・ボンゴが”A Card named Fred”を発表し、フィル・ゴールドスティンとトレバー・ダフィーにより”Final Fred”に改案され、1985年のFISMマドリード大会で演じられたそうです。
調べてみると、このテーマのマジックはかなりの数が発表されており、Genii Forumで調べてくれている人がいました。
Conjuring Archiveでもまとめられています。
最後に
Blank Phil Deckを買うとBookletが付いてきて、いろいろなアイディアが記載されています。演出は様々に工夫できますので、興味があれば研究してみても面白いかと思います。
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