気を抜かず、手も抜かず、力だけを上手に抜く。
ねじめ正一(詩人、小説家)
聖歌隊で声楽をほんの少しかじっていたのですが、個人的に一番難しかったのが力を抜くことでした。
声楽では発声のとき、顔や首に力を入れずに、下腹部〜背部にかけて緊張することで体を支え、へその下辺りから息を出し、流れを頭の上に通らせるイメージと習いました。
最初は難しく、大きな声を出そうとすると肩、首、顔に力が入ってしまい、逆に声が押し殺されました。自分で歌っていると分かりませんが、指導をしている側からするとすぐ分かるようです。
数年かけて上記を意識して練習すると体も慣れてきて、そこまで力を入れずに声が出るようになります。力を抜いたほうが効果的な発声になるのです。
マジシャンであるポン太 the スミス氏のSpeakersというインタビュー動画の3分〜6分半頃に、練習で力を抜くことについて次のように言っています。かいつまんで引用してみます。
練習においてなめらかさを優先する理由は、正確性を重視してしまうと、その後なめらかさを習得しにくくなるからです。正確にしようとすると力みが出る。脱力とは力を入れないことではなく、必要な部分以外の力をなくすことです。
腕の屈曲であれば上腕二頭筋を収縮させますが、上腕三頭筋を同時に収縮すると動かしにくくなる。両方同時に収縮するということは、関節を固定すること。糸を針穴に通すときは完全に関節を固定して、正確性を上げています。
正確性を重視して反復練習をすると、力みが固定化され、なめらかな動作にシフトできなくなってしまいます。
不正確にはなりますが、最初は力みがない状態で反復練習をして、その後正確性を上げていくほうがよいです。もう一つの理由は、余計な力が多い中で反復練習をすると疲れてしまうんですね。この状態で根性で反復すると、腱鞘炎などを引き起こしてしまいます。
もちろん、本番が近い場合は正確性を優先させるべきですが。
ポン太・ザ・スミス(Speakers Part 4より)
人生においてもそうだと思います。
仕事や普段の生活で力を入れる場面もありますが、力みすぎたり、力みが長引くと疲れてしまい、最悪心身に不調をきたしてしまいます。
自分がなめらかに動けるように日々訓練すること、また、なめらかに動ける環境を整えていきましょう。
完全に脱力できる時間や場を、定期的に持つことも大事ですね。
Take it easy and enjoy your life…
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