【マジック雑談】マジックの学習方法(文章と動画)

こんにちは、SkyWalkerです。

クロネコ屋さんがこんなツイートをしていました。

かねてからずっと「動画よりも文章のほうが学習効率が良い」と思っていたので、マジックを学ぶことに関して書いてみたいと思います。個人的な結論は「動画で動作やタイミングを補完しつつ、メインは文章で学び、実演で磨く」です。

文章だけでマジックは学べるか

今やこんなことをする人はいないと思いますがw、結論としては「不可能ではないが、ある程度は実演や動画を見ないと難しい」です。

私は周りにマジックをする人がおらず、実演を見る機会がほとんどありませんでした。マジェイアさんの「これからマジックを始めたい人のために」の中に「本だけでマジックは学べる」という記載を見て、一時期本だけで学ぼうとしていました。

しかし、さすがに実演を見ないとタイミングなどはうまく学べません。特に「さりげなく」はどうしても本だけでは理解しにくかったです。

動画だけでマジックは学べるか

今の時代、YouTubeで検索すればイヤというほど種明かし動画が出てきます。中には上手な人もいて、それをきっかけに学んでいる人もいるかと思います。

しかし、中級者以上になると動画だけで学んでいくのは困難です。「なぜその動作をするのか」など、歴史、背景、思想などは文章の方が頭に入るからです。

これはAmazonのAudibleを聞いているとよく分かります。論理的に難解な文章になると、何度か聞き直さないと理解できません。

動画よりも文章の方が学習効率が良い

私がマジックを練習しはじめた頃はインターネットの黎明期で、動画をあつかうには難しい時代でした。学生でVHS(当時DVDもなかった)も多くは買えず、一番手が届くのが本でした。

いまでこそDVDやダウンロードが手に入りやすくなりましたが、基本は文章や本で学んでいます。

理由はいくつかあって、

  1. 動画での説明・動作は何度も見なくてはいけない
  2. 動画は情報量が多すぎる
  3. 文章のほうが参照・復習しやすい

1つずつ見ていきます。

動画での説明・動作は何度も見なくてはいけない

初めて触れる概念や動作は、一度で覚えられません。実演者が慣れていても、初学者には難しい部分が多く、何度も戻さなくてはいけません。しかも、その説明やデモの時間がとられてしまいます(倍速にすれば時間は短縮できますが、理解できないことも多い)。

文章でも読み返すのですが、自分のペースで想像しながら手を動かすので、習得が早いのです。

繰り返しますが、特に概念の説明は文字でないと理解、習得は難しいと感じます。

動画は情報量が多すぎる

細かいタイミングなどは動画の方に軍配が上がりますが、その他の不要な情報も多いです。例えば、演者独特の間合い、話し方、表情などは、本来自分に合うようアレンジすべきですが、動画を見れば見るほどコピーしてしまいがちです。

私も初めて買った動画の演技を何度も見て、完璧に動作やセリフをおぼえていましたが、ふりかえれば劣化版コピーみたいになっていましたね…笑

それに対して、本は軸となる概念や動作が書いてあり、最終的に自分に合うよう調整することになります。ここから自分にあう動作が生まれます。

ロベルト・ジョビーのカードカレッジ1巻の冒頭に、図についての記載があります。

イラストを用いた図解にしたのは、写真よりも分かり易いと考えたからである。特に細部や連続する動きに対しては、イラストのほうが分かり易い。カメラは見たものをそのまま全て写してはくれるが、技法の説明をする場合、全ての部分が重要というわけではない。イラストは、重要な部分だけを抜き出して示す事ができる上に、不必要な部分は省略してしまえる。この利点の活用によって、より詳しくより分かり易くまとめることが可能となったと思っている。

カード・カレッジ1 p.2(ロベルト・ジョビー)

ロベルト・ジョビーのカード・カレッジ〈第1巻〉 単行本 – 2000/9/1
ロベルト ジョビー (著), Robert Giobbi (原著), 加藤 友康 (翻訳)

文章のほうが参照・復習しやすい

ダウンロードやDVDからマジックを覚え、しばらく時間が経って「あれ、これどんな手順だったかな?」と思った時、文章に残さないと、動画を見直さなければいけなくなります。何度かこのようなことが起こり、今ではマスターしたい技法や手順はEvernoteにメモするようにしました。こちらの方が復習の時間が格段に短縮されました。

文章に書き起こす時に時間はかかりますが、自力で考えアウトプットするので、定着が強く、復習するときの効率が相当良くなりました

同時にいくつかの情報を参照しなければいけないときも、複数の動画を見ることは困難です。そういう意味でも、文章が一番効率が良いです。

若い時は記憶力、吸収力がすごいのでメモなど取らずに覚えていると思いますが、年齢を重ねてストックしている情報量が増えてくると、必ず忘れます笑

簡単で良いのでメモを取ると、短時間で思い出すことが出来ますので、だまされたと思ってやってみてください。

動画で動作やタイミングを補完しつつ、メインは文章で学ぶ

どちらか一方ではなく、補いあって学んでいくのが良いと思います。動画が手軽に扱えるようになり、本は廃れてしまうのか?という議論もありましたが、逆に文章の利点も意識されるようになりましたね。

学んだら実演で磨く

ある程度できるようになったら、人前で実際にやってみます。「マジックは生き物」でも書かれていますが、パフォーミングアートなので人前でやることが一番の練習になります(もちろん不完全なマジックの練習台という意味ではない^^;)。

できれば、信頼できる先輩マジシャンにアドバイスをもらえれば一番良いですね。私は周りにそんな人がいないのですが、Zoomなどで今後は個人レッスンも活発になるのでしょうか。

個人的おすすめ書籍

あまり本を読んだことがなく、本でもマジックを学んでみたいという人がいましたら、下記の書籍をおすすめします。まずは奇術入門シリーズが良いですね。

奇術入門シリーズ カードマジック

カードマジック (奇術入門シリーズ) 単行本 – 1987/6/1
高木 重朗 (著)

奇術入門シリーズ トランプマジック

トランプマジック (奇術入門シリーズ) 単行本 – 1996/1/1
気賀 康夫 (著)

カードマジック入門事典

カードマジック入門事典 単行本 – 1987/3/1
高木 重朗 (編集), 麦谷 真里 (編集)

古くて中古になっていますが、名著です。この中のトリックをいくつかレパートリーとして重宝させてもらっています。

私はまだ読み込めていないのですが、トランプの不思議も評判が良いです。

女性のためのマジックレッスン 前田知洋

前田知洋の女性のためのマジックレッスン 単行本(ソフトカバー) – 2014/10/13
前田 知洋 (著), 角矢 幸繁 (著)

一般書籍で初心者向けの良書。演出もオシャレで、写真もきれいで読みやすいです。

奇術入門シリーズ コインマジック

コインマジック (奇術入門シリーズ) 単行本 – 1987/5/1
二川 滋夫 (著)

コインマジックは動画がない時代は辛かったのですが、今や始めやすい時代になりました。

セルフワーキング・マジック事典

セルフワーキング・マジック事典 単行本 – 1999/7/1
松山 光伸 (著)

カードマジックが中心ですが、セルフワーキングで効果的なトリックが揃っています。

その他、高木重朗氏、松田道弘氏の書籍は読みやすいです。ただし、カードマジック事典コインマジック事典は、記述がシンプルで読み解くのは難しいと思っています。ある程度本を読み慣れてからが良さそうです。

今まで動画のみで学ばれていた方が、本でもマジックを学ぶきっかけになれば幸いです。

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