【マジック雑談】思ったトランプを当てる

こんにちは、SkyWalkerです。

以前White Image Deckの記事でも紹介したのですが、カードカレッジの著者ロベルト・ジョビー Roberto GiobbiがFavorites-Giobbi on VernonのEmotional Reactionの解説で、

「観客に思ったトランプを当ててよ、と言われた時、あなたはどのような方法を知っていますか?」

と言っていました。

先日フレンチドロップのメールマガジンでちょうど同じ話題があり、取り上げようとしていたトリックがいくつか同じだったため、備忘録の意味も込めて書いてみます。

実際に選ぶよりも心に思う方が効果的なのか?

本題に入る前にちょっとだけ問題提起です。

直感として、心に思ったほうが自由選択になるので効果的だと思いがちですが、果たしてどうなのでしょう?

Vanishing Inc.のブログで、過去にMy Favorites Card Tricksと題して何人かのマジシャンが記事を書いています。その中で、Gustav Kuhnが、

「予言トリックで、自由にカードの名前を言ってもらうことと、裏向きにスプレッドしたカードから1枚を選ぶのと効果は同等である」

と言っています。この元の研究が見つけられず、どのような条件下で何をアウトカムにしているのかはよくわかりません。上記はACAANの話の流れで、予言トリックに関してのみ言及しており、演出や見せ方によって結果は異なるでしょう。

しかし、少なくとも「カードを実際に選ぶよりも、心に思う方が効果的だとは限らない」と認識しておいた方が良さそうです。

トリック紹介

思ったトランプを当てるマジックを思うままに挙げていきます。

Out of Sight, Out of Mind

バーノンの有名なトリックです。見てもらっただけのカードを当ててしまいます。レギュラーデックで出来、上手く演じれば相当不思議です。

バリエーションも相当あるようですね。

個人的にはインターセプトがかなり賢いと思っており、特に技法を使わないバリエーションは低負担で良いトリックだと思っています。

原案はカードマジック事典に収録されています。

カードマジック事典 新装版 単行本(ソフトカバー) – 2016/10/8
高木 重朗 (編集)

Emotional Reaction

バーノン作。観客に選んで胸に当ててもらい、混ぜた後にカードを当てます。セルフワーキングで演出に力が注げる、素晴らしいトリックです。

上記のFavorites-Giobbi on Vernon、ラリー・ジェニングスのカードマジック入門カードマジック入門事典などに解説されています。

ブランド: テンヨー(Tenyo)
新版 ラリー・ジェニングスのカードマジック入門

カードマジック入門事典 単行本 – 1987/3/1
高木 重朗 (編集), 麦谷 真里 (編集)

Mind Power Deck

スプレッドしたデックから1枚見て覚えてもらい、何回か質問した後に当てます。始めは質問がぎこちなくなるかもしれませんが、やり慣れれば不思議な印象を与えられます。

バリエーションとして、思ったカードが消失して別の場所から出るものもあったりしますが、個人的にはアマチュアであれば当てるだけで十分かな…と思っています。

売りネタで、様々なショップで扱っています。

Vanished or Gone

ピーター・ダフィー Peter Duffieの作品で、自由に思ってもらったカードが消失します。

Premonitionのバリエーションなのですが、こちらのほうが準備が楽です。

Effortless Card Magicに収録。

その他

上記はブログで紹介していますので、気になる方はそれぞれのページへどうぞ。

こう見ると、カードを思ってもらうトリックは私好みなのかもしれない…笑

Tips紹介

トランプ52枚の中から1枚を思ってもらう時、選ばれやすいトランプが存在します。

実際にそれを調べたカナダの研究があり、2012年8月のGeniiや、Scientific American紙にその結果が掲載されています。

この研究で面白いのは、カードの名前を言ってもらう”Name a card”ことと、カードをイメージしてもらう”Visualize a card”のでは、選ばれやすいカードが若干違うということです。

また、認識しやすいカードや覚えやすいカードもあり、フォースする場合の参考になります。

注意すべきはカナダでの研究結果であり、欧米と比較してトランプに馴染みが薄い日本人にはそのまま当てはめられないことですかね。

研究ではありませんが、松田道弘氏の「メンタルマジック事典」Name-O-Cardの項に松田さん自身の経験から、選ばれやすいカードをいくつか紹介しています。これも参考になります。

メンタル・マジック事典 単行本 – 1997/3/1
松田 道弘 (著)

最後に

カードをイメージしてもらうのは神秘的になり得る反面、演出やセリフをしっかり準備しないと、観客に余計な負担を与えかねません。

それを踏まえた上で、このようなトリックを研究してみるのも面白いと思います。

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